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食ってけキノコ遠足~前編~

 翌日は休みという開放感に満ちた、金曜の放課後。
 既に人気のなくなった教室の窓際で、3つの影がなにやらひそひそと相談の体。
「…どのゴーストに食わすか、ってのが問題だよねェ」
 行儀悪く机の上に腰掛け、そう言ったのは江間・良将(株・b23890)だ。
「そうだにゃあ…」
 柔らかな名古屋弁で頷いたのは、宇気比・真弓(ウィアソリス・b24740)。
光で縒ったような金の髪を夕日に晒し、思慮深げに下唇に親指を押し当てた。
「変化のあるなしは別としても、やっぱ人型のほうがいい気がするんだわ」
「ン。妖獣タイプだと、どうなると異常なのかイマイチ良くわかんねェもんなァ」

 話題の元は、先日江間が南米で手に入れてきた魔法のキノコ。
 現在、『マジックマッシュルーム(付属効果:ハッピー)を、
ゴーストに食わせたらどうなるか試してみよう大作戦』の秘密会議中であった。
 ちなみに、入手方法は深く聞いてはいけない。

 窓枠に寄りかかり、二人のやりとりを聞いていた真田・碧(本心を掴めさせぬ空駆狐・b24519)が、
楽しそうにその紅玉の目を細めた。
「だったら自縛霊も駄目だよね~。キノコなんて食べないもんね、にゃは♪」
「…となると、ゾンビも微妙、と」
 血肉を欲するとはいえ、奴らは所詮朽ち続けてゆく屍だ。
 そもそも神経がすでに爛れている可能性のほうが大きい。
 妖獣・自縛霊・ゾンビを除外するとしたら、おのずと対象は限られてくる。
「んじゃ、リリスだ♪」
「だぁなー」
 リリスがキノコを食べるのかという問題はとりあえず脇におき、三人はさらに的を絞る。
「てかさ、食わせやすそうなリリスってどんな?」
「んー…。鎧讐少女、クロームドール、デラルテ、ロートリク…
このあたりは、口があっても、咀嚼があるかどーか微妙だがね」
 宇気比の言葉に頷いて、真田が小首をかしげる。
「ボス狙ってくなら、サバトクイーンか蛇雀姫?」
「ン!? あ、サバトクイーン、オレ苦手」
「じゃあいちごで蛇雀姫だ♪」
「でかくにゃあか? アレ」
「いけンだろ」
「まー何とか…ちゅーか江間。」
 話もまとまりかけた頃、宇気比が思い出したようにふと顔を上げた。
「オレらで食ってみるって話はどうなったんよ」
「あ、そうそうー。食べられると思ったのに~」
 そもそもの発端は、宇気比への純然たるお土産であるキノコを
どうやって食べようかというところから始まった話であった。
 食べたかったコールを二人から受け、江間は指で頬を軽くひっかいた。
「いや、オレも皆で食べようと思ったんだけどさァ…。ただ、なんつうか純粋に」
 思わせぶりに言葉を切って目を逸らす江間に、二人が顔を寄せる。
「うん?」
「なーに~?」
「とってきてから2週間。…そろそろ、物理的に危なそうでさァ」
 言外の意味を察して二人は沈黙した。
「……ゴーストに食わすか」
「そうだね~、にゃは♪」
満場一致により、やはりキノコはゴーストに与えてみる事と決まった。




作戦決行は7月8日、日曜日。
場所は大須・いちご貴族。
かくしてキノコ遠足は始まったのだった――――





■食ってけキノコ遠足

冒険出発日:7月8日
場所:いちご貴族
食わせる対象:第一希望、リリス・ボスキャラ系
       次点リビングデッド
      (地縛霊・妖獣系は反応が謎なので除外、
       一応人型対象)

・とりあえず通常のGTです。
・難易度:易
・戦闘よりも待ち時間の潰し方とその間の会話、反応後の鬼ごっこ、
 そしてGTを出たあとのごはんを楽しんでください。
・ネーミングセンスがないのはもう諦めてください。




 愛知県大洲、いちご貴族――――
 ラ(世界結界)ルの使用目的上、窓の少ない構造の建物内は昼でも薄暗い。
 頻度の差はあれど、既にある程度覚えた建物の構造。
3人は着実にゴーストたちを倒し、ちゃっかり詠唱兵器も獲得しながら、最上階への道を開いた。
「そういや、真田と一緒するんは初めてなんだよなー」 
 影から切りかかってきた折り畳み男の斧を危なげなくかわしながら、宇気比が声をあげた。
 少し離れたところでアームブレードを振るっていた真田が、今気づいたというように笑い声をあげた。
「ん? そういえばそうだねー、にゃは♪」
 真田が先駆けとなって駆け抜け、江間が後を追う。 
 そして少し離れた位置で、宇気比が状況に応じて援護をかける。
 即席のパーティは、存外にバランスがいい。

 一通りフロアの敵を倒した頃、部屋の奥で気配が膨れ上がる。
 素早く察した真田が、目を笑みの形にたわませた。
「おいでなすったねぃ♪」
 巨大なリリスが影から姿を現した。
 ゆっくりと空を踏んで近づいてくるのは、蛇雀姫。
 豊満な体を大きな蛇に絡ませ、金の目を残虐の喜悦に歪ませた、妖艶なる女王。
 鎌首をもたげた蛇がもらす威嚇音に、三人は同時に軽く構えた。
 視線をリリスに添えたまま、宇気比が江間へ声をかける。
「江間ー! キノコの準備はー!」
「いつでもオッケー!」
「あいよ! ほんじゃ、皆、作戦その一発動ーー!」
「りょうかーい! ―――いくよ~!」
 緊張などまるでない声で真田が軽く応じ、そのままたん、と地を蹴った。 
 正面から突っ込むと見せかけて直前で思い切り横に飛ぶ。
 真田が跳んだ場所を蛇の胴体が叩く。
 その間隙を狙って、江間が懐に飛び込んだ。
 しかしリリスの人面との距離を詰めようとした瞬間、
 リリスに巻き付く巨大な蛇がその目前に滑り込み牙をむいた。
「…あ、やべ!」
 食いつかれそうになってバランスを崩したところを、蛇の太い胴体で強打される。
 咄嗟に後ろに引いて直撃を避けたが、その勢いのまま後ろに吹っ飛んだ。
 江間は三回程転がった後すぐに起き上がったが、瓦礫で腕を切ったらしい。突いた手から血が流れ落ちる。
「っ、いってェ…!」
 状況を察した真田が、後方からリリスへクナイを放って牽制する。
「江間!」
「…あ、待って、回復待って!」
 即座に回復の体制に入った宇気比を、江間が手で制した。
 主として人間の血肉を食らうリリス。思いつきで、拭った自分の血をキノコになすりつける。
 よし、と再び立て直した江間の体に、素早く宇気比の術がかかった。 止まった血、塞がってゆく傷を見て江間が笑う。
「いけるか? 足止め行くでよー」
 まっすぐ伸ばした宇気比の腕に絡みつくように、光が収束する。
 それを確認して、江間は後方で距離をはかっていた真田に向かって声をかけた。
「真田ー! ちょっと蛇のほう何とかしてー!」
「お安い御用だよ~、にゃは♪」
 三人目を合わせて頷くと、江間と真田は同時に駆け出した。
 江間が前だが、真田のほうが早い。
 風のように疾走する真田は瞬く間に江間の後ろに迫り、
 そのままツナギの背中を踏んで、蛇雀姫の頭上へと舞い上がった。
 目前へ飛び上がった少女に食らいつかんとした蛇は、しかし宇気比が放った光の槍に牽制されて一瞬たたらを踏む。
 抜け目のない狐がその隙を逃すはずはなく、武器の飾り紐をぴんと張って蛇の首にかけ、
 自分の落下の勢いを利用して、のけぞらせる形で押さえ込む。
「良将ちゃーん!」
 声にあわせ、江間も飛び込んだ。
 鋭い爪を押さえ込み、思い切り踵を落として一本を折る。
 怒声をあげるために大きくあけた口に、勢いよくキノコをつっこみ、そのまま塞ぐ。
 人間の口では一気に飲み込むことなどできまいが、巨大なリリスの口ならばそれも可能だ。

 ――――抑えること数秒。
 血の味を感じ取ったかそれともはずみか、ごくりと喉が動いた。
 よしゃ、食わせた、と三人が小さく拳でガッツポーズをとる。

「ほんじゃ、作戦その2いこかーー!」
「オッケー♪」
「逃げるぜーーー!!」
 一度腕を軽く打ち合わせると、三人は広いボス部屋で散りぢりになった。

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